Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

第十八回

一

悪い物にでも追われているように、入口の方を隙かして見た。ありありと恐怖の表情があった。月子は入口の戸を閉ざした。

それから二人を観察した。苦労な旅の結果でもあろう、二人の姿は窶れていた。しかしそれにも関らず、武士も妻も美しかった。淫らと云いたいほど美しかった。ちょっとの間三人は黙っていた。

「失礼ながらお名前は?」威厳をもって月子は訊いた。

「私は伴源之丞」

「妾は園女と申します」

忍ぶように名を宣った。

第十八回

一

万像は育つといへど

ここのみは育つものなし

春の来て明るしといへど

ここのみは黄泉なる姿

岩窪に水を湛へて

龕の灯のともしく映る

人の住む岩窟ならぬに

鑿の音しかも聞こゆれ

野の小鳥訪ひしことなし

野の獣訪ひしことなし

面造る女ぞ一人

籠らうよ謹みにつつ

「伴源之丞様と園女様? ああさようでございますか」

月子は幽かに頷いた。「失礼ながらお産まれは?」

「はい」と源之丞は躊躇したが、「小田原の産でございます」

「で造顔する目的は?」

「はい」とまたも躊躇したが、「実は久しい以前から、敵を持つ身でございます。恐ろしい敵でございます。腑甲斐ないようではございますが、遭って刀を交えたが最後、私に勝ち目はございません。