Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

三

有髪の僧は階段を下の方へ下りて行った。世にも寂し気の姿であった。罪人のような姿であった。

月は教団の町々を薄蒼白く照らしていた。その町々を陰影のように光明優婆塞は彷徨って行った。

消魂い嬰児の泣き声が一軒の家から洩れて来た。と、立ち止まった優婆塞は静かに窓の戸を指で叩いた。

「子供よ子供よ夢を見たか。夜は深い、泣き止んでおくれ」

呟くように囁いた。すると嬰児は泣き止んだ。

一軒の家から云い争う男女の声が聞こえて来た。とまた優婆塞は窓を叩いた。

「夫婦の者よ、云い争うな」

するとすぐに争いは止んだ。

町を出ると荒野であった。

光明優婆塞は走り出した。

それは走ると云うよりも舞うと云った方がいいようであった。月の光りに透きとおる白雲のような何物かが藪の上や灌木の上を非常な速さで舞って行くと、こう云った方がよいようであった。しかし決して妖術ではあるまい。永い年月繰り返された行者としての難行苦行が、彼の躰を軽いものとし、速走の骨法を自得させたのであろう。

富士の裾野の荒い野には露がしとどに降りていた。虫が草間で喞いていた。そうして秋草が花咲いていた。草を分け露を散らし、光明優婆塞はひた走った。