Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
六
だからそこには日月もなく、また辰星もないのであった。
夜光虫の光の届かない隈は、ただ暗々たる闇なのであった。
庄三郎は死んだのではない。――死んだのなら何んと安らかであろう。――だが彼は生きていた。ただ正気を失ったばかりだ。
三人の信徒は担ぐことになった。
一人が頭、一人が胴、もう一人が足を担ぐことになった。
僧侶の群れが先頭に立ち、気絶した庄三郎がその後から続き、その左右と背後から、武装した信徒が従った。
一隊は一言も物を云わない。足音ばかりが反響した。
一筋川が流れていた。短い石橋がかかっていた。その石橋を渡って行った。
長い廻廊が現われた。白木の懺悔堂が現われた。それを過ぎると河原であった。
天工自然の大巨巌が、燐火の海に浮き出ていた。それには少しの飾りもなかった。これまでのすべての建物の中で、これが一番神々しかった。
富士教団の守護神たる、役ノ行者の荘厳の木乃伊が、昔ながらの形を保ち、そこに籠っているのであった。
一隊はその前を通り過ぎた。
と、遥かの薄明の中に、銀のような一筋の光が見えた。
すなわち一湾の湖水であった。
一隊はそっちへ進んで行った。