Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
六
そうしてその次に起ったのは「むッ」という苦悶の声であり、地に仆れる音であった。
六
山県屋敷を南に眺め、東に続いている鍛冶小路を、夢見山の方へ走って行くのは、例の老人と老婆であった。恐怖のために正気を失い、無我夢中で逃げるらしい。道が消えて熊笹となり灌木の這っている山路となり、行手に森林の聳えているのも、彼ら二人は気が付かないらしい。
山は次第に険しくなり、やがて浅い谷となった。
尚二人は逃げて行く。
谷を越すと丘であり、丘は林に続いていた。もう振り返っても甲府城下は、山に隔てられて見えないだろう。一里以上も来たのだから。
しかし二人は尚逃げた。
と、行手に朦朧と、生白い物が見えて来た。巨岩が連なっているのであった。岩と岩との間を潜り、老人と老婆は向こうへ出た。
これはいったいどうしたのだ? 平坦な人工の往来が、一筋延びているではないか。
だがそれはまだよかった。
その往来を一隊の人数が、粛々と歩いて来るではないか。
松火を持った甲冑武者が、その先頭に立っていた。後に続いた数十人の者は、いずれも究竟の若者であったが、一人残らず縛られていた。そうしてそれらを警護するように、抜き身の槍、抜き身の薙刀、半弓を持った甲冑武者がその左右に附いていた。