Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「贋というのは可笑しいではないか」
「これは贋物でございます」
「では本物の五臓丸は?」
「人間の五臓で製します」
「ふうん、恐ろしい薬だな」
「恐ろしい薬でございます」
「それはどこで製しているかな」
「へい、南蛮とか申す国で」
「おおそうか、日本ではないのか?」
「へい、日本ではないそうで」
「で、どんな効能があるな?」
「へい、万病に効きますそうで。そうしてそいつを水へ入れると、ポンと天井へ飛び上がりますそうで」
――つまりこういう経験が、その過去においてあったところから、そこでこの日「五臓丸」という薬売りの呼び声を耳にするや、すぐ一粒を需めたのであった。しかるにそれが意外にも本物の五臓丸だと知った時の、彼の驚きというものは、形容に絶したものであった。
「では何者か日本でも五臓丸を造るものがあると見える。生きた人間の五臓を刳り抜き、製造するという五臓丸! 何物の悪魔の所業であろう?」
それから彼は五臓丸を仔細に渡って研究した。その結果彼の知ったことは、その丸薬の製法が、越後上杉の軍用薬と非常に似ているということであった。
で、彼は思うところあって飄然と春日山へ来たのであった。