Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
血が一筋吹き上り、五寸あまりも宙に躍ったのはその痙攣と同時であったが、しかしそれも一刹那で、乙女の振り撒いた茶褐色の粉が、流れる血汐を凝らせた。
露出された死者の喉から胸、胸から腹まで一文字に、大メスの刃が引かれたのは、手術が二段目へはいった証拠で、切られた切り口から熱い血が左右の脇腹へ滴たり落ちたが、すぐに血止めで凝らされた。
「鋸を!」
と老人は云った。と、乙女の手が卓の上から、それを老人へ手渡した。肋を切り取る無気味の音が、ひとしきり部屋の中へ響いたが、やがて左右十本の肋骨が、血にまみれながら、抜き取られた。その時、老人は左右の手を、物でも掬うように円く曲げ、ドップリと胸腔へ差し込んだが、肘の付け根から爪の先まで、唐紅に血に染めて、それを再び引き出した時には、軟いドロドロした変な物を、掌一杯に捧げて持っていた。
「肺の臓」と冷静に云った。それから青年へ眼をやったが、「銀盆を!」と命ずるように云った。
つと進んだ青年は、銀盆に肺臓を受け取ると、そのままゆっくりと旋廻し、爪先で歩いて火炉まで行ったが、筒形の釜の真上の辺で、そろそろと盆を傾むけた。