Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
すぐ二三人が真似をした。着ている衣裳が破られた。腕や脛から血が流れた。
庄三郎の頭の中を、いろいろの幻影が通り過ぎた。
甲府の館。……信玄公の姿。……友人の真田源五郎。……爛漫と咲いている夜の桜。……年寄りの紅巾売り。……そうして光明優婆塞の顔。……
「父上にも母上にももう逢うことは出来ないだろう。……死! 処刑! 教団の掟! こんな所へ来なければよかった。……俺はすぐに殺されるのだ。……痛い! 小刀で突いたそうな。……いったいどこへ連れて行くのだ! 悪党どもが! 悪者どもが!」
一隊はやがて辻を曲った。それから丁字路を左へ折れた。そうしてノロノロと進んで行った。
行っても行っても群集であった。群集の顔は口ばかりであった。咒詛の声ばかりがぶつかって来た。
またも一隊は辻を曲った。
あらゆる町々を歩くのであった。
彼は晒し物にされるのであった。そうしてそのあげくに殺されるのであった。
次第に庄三郎は疲労れて来た。益々歩みがのろくなった。首を上げることが出来なくなった。心がだんだん恍惚となった。もう何んにも見えなくなった。幻影さえも消えてしまった。だが声ばかりは聞こえて来た。