Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて湖水の岸へ来た。水は箔のように光っていた。夜光虫の燐の火が、燃え立つばかりに輝いていた。水は微動さえしなかった。それが広茫と湛えられていた。

岸は岩で畳まれていた。それが緩いカーヴをなして、左右へ遠く延びていた。

古風な独木船が舫っていた。しずかに上下へ揺れているのは、多少漣が立つのであろう。

一隊ははじめて立ち止まった。それから掟が行われた。

庄三郎は信徒の手で独木船へ移された。

彼は死の湖水へ棄てられたのであった。二三人が船を押しやった。と、船は痙攣しながら、沖の方へ辷って行った。

湖水は動いているのであった。きわめて緩慢ではあったけれど、沖の方へ、沖の方へと、渦を巻きながら動いていた。

で、船は渦なりに、沖の方へ引かれて行った。

船は湖心まで引かれて行った。

そこでしばらく静まった。それから徐々に流れ出した。

船は東南へ流れ出した。

湖水は大河に続いていた。仁田四郎忠常が、究めることが出来なかったという、人穴の奥の大河こそは、湖水に源を発しているのであった。船の中の庄三郎は、まだ気絶から醒めなかった。血にまみれた顔を上へ向け、木像のように動かなかった。