Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
四
纐纈城の水門が、鈍い音と共に開かれた。
と、一隻の帆船が波を蹴立てて走り出た。
愉快そうな歌声が響き渡った。
いざ鳥刺が参って候
鳥はいぬかや大鳥は
頭巾、袖無し、裁着、黐棹、甚太郎が船に乗っていた。いずれも衣裳は新調で、黐棹ばかりが元のままであった。
過ぐる秋のある日のこと、彼を載っけて纐纈城へ運んだ、それと同じ赤帆の船が、纐纈城から湖水の岸へ、彼を運んで行くのであった。
甚太郎はクリクリと肥えていた。血色も好ければ艶もあった。そうしてひどく元気であった。
「おお、おお船頭どんなものだい」船の中間に頑張りながら、彼は毒舌を揮い出した。「とっ捕えたら放しっこのねえ、纐纈城ともあるものが、俺を逃がすとはどうしたものだ。……うんにゃ、違う、逃げるんじゃアねえ。へん、この俺がなんで逃げる。大威張りに送られて帰るのよ。……だがな、本当に纐纈城は、俺にとっちゃいいとこだった。ふんだんにいい着物を着せてくれて、ふんだんに旨い物を食わせてくれて、気儘に遊ばせてくれたんだからな。……ええオイ本当にあんな所が、この世の極楽って云うんだろうぜ。トントン云う目が出るんだからな。