Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
どこからか微風がはいったと見える。面が一斉に瞬いた。がしかしすぐ止んだ。龕の灯が静止したからであろう。
トコトコトコトコと水の音!
「深い人中でございますこと」月子の声が聞こえて来た。「上狭く下広く、理想的の形でございますこと。これも変えなければなりますまい。薄く短く致しましょう。そうして斑紋を着けましょう。帯運の相! 薄命の相!」
パタパタと叩くような音がした。鋏で刻むような音がした。
「探せ探せ北条内記!」源之丞は呟いた。「日本国中を探すがいい。が、永久目付かるまい」
また月子の声がした。
「愛らしい唇付きでございますこと。薄くて紅くて小さくて、花弁のようでございますこと。これも変えなければなりますまい。覆舟口に致しましょう。神枯れて気濁り、家破れて一族四散、寄る辺ない悪運の唇に」
源之丞はいつまでも蹲まっていた。
彫りかけた楠の木の面材が、荒菰の上に置いてあった。木屑が四辺に散っていた。
とまた月子の声がした。
「歯並も変えなければなりますまい。調った歯並でございますこと。当門二歯と申します。参差歯にすることに致しましょう」
コツコツと叩く音がした。