Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「俺からもすぐに追手を出そう」
「は、なにとぞよろしいように」
「国の掟だから止むを得ない」
「は、なにとぞよろしいように」
「俺は愚痴を云う人間ではない」暗然として信玄は云った。
「がそれにしても庄三郎は何故黙って他国したのだろう。この甲州の掟として、無断に国土を離れた者は草を分けても詮索し縛り首に処すということは、彼といえども知っている筈だ。それだのに無断で他国するとは」
「大馬鹿者にござります」
「大馬鹿者では済まないから困る。……庄三郎の父の庄八郎には俺は恩を受けている。庄三郎は俺にとっては可愛い大事な家来なのだ。他国させるのはいかにも残念、まして捕えて殺すのは情において忍びないが、この信玄の作った掟をこの信玄が破ることは出来ない。何んとそうではあるまいかな?」
「御意の通りにございます」
「もし許しておく時は、他国する者が増すであろう。他国したものは縁を求めて上杉、北条、織田などへ随身するに違いない。甲州の機密はそれらの口から自然敵方へ洩れなければならない。これは実に恐ろしいことだ」
「恐ろしいことにござります」
「そこで俺は涙を揮って庄三郎を捕えることにする」