Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
月子は静かに垂れ幕をかかげ、前部屋へ姿を現わした。
陶器師は頭を介え、その頭を地に押し付け、肩を刻んで泣いている。剛悪惨暴の男だけに、そうやって泣いている様子には一層憐れなものがあったが、月子はチラリと見たばかりで、向こう側に懸けられた垂れ幕を分け、つと部屋の中へはいって行った。
ここは造顔手術室である。
獣油の燭に点されて仄かに見えるは寝台である。寝台の横手の巌棚の上に無数の器物が載せてある。いわゆる今日の外科道具で銀色の小刀、同じ色の鋏、象牙の箆、鹿の鞣し革、鵠毛の刷毛、鋭い鉄針、真鍮の輪、それと並べて大小の箱が、粉薬水薬を一杯に満たせ、整然として置かれてある。
「おいでなさりませ陶器師様」優しく月子は声を掛けた。
間もなく陶器師ははいって来よう。そうして手術は行われよう。その手術こそこの物語でも、最も興味ある場面なのである。しかし作者はしばらくの間物語の筋を横へ逸らせ、青木原で陶器師と別れた高坂甚太郎の身の上について少しく説明しようと思う。
いざ鳥刺が参って候
鳥はいぬかや大鳥は
莫迦に暢気そうな歌声が本栖湖の畔から聞こえて来た。
見れば、甚太郎がそこにいる。