Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
みじめなものだ。有頂天の直後に、かならずどん底の失意に襲われるのは、これは、どうやら僕の宿命らしい。世の中というものは、どうしてこんなにケチくさく、お互いに不必要な敵意に燃えているのか、いやになってしまう。
けさ、大学の正門前でバスから降りた、とたんに、こないだの蹴球部の本科生と逢った。あの日、僕を捜しに教室へやって来た鬚もじゃの学生である。僕は、その人に好意を感じていたのだから、早速にっこり笑って、
「おはようございます。」と活溌に言った。すると、ひどいじゃないか、その学生は、実にいやな、憎しみの眼で、チラと僕を見たきりで、さっさと正門へはいって行ってしまった。こないだのあの無邪気なあわて者とは、まるで別人の感じなのだ。その眼つきは、なんとも言えない、あさはかなものだった。蹴球部へはいらないからと言って、急に、あんなに態度を変えなくたっていいじゃないか。同じR大生じゃないか。馬鹿野郎! と背後から怒鳴りつけてやりたかった。もう、二十四、五にもなっているのだろう。いいとしをして、本気に僕を憎んでいやがる。僕は、その学生を極度に軽蔑すると共に、なんだか悪い人間性を見つけたような気がして、ひどく淋しくなってしまった。