Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕は、自分の人格に就いては、努力しているし、いつも反省しているつもりだから、そのほうは人に褒められても、かえって、くすぐったいくらいで、別段うれしいとも思わぬし、また、人に誤解せられ悪口を言われても、まあ見ていなさい、いまにわかりますから、というような余裕もあるのだが、才能のほうは、これこそ全く天与のもので、いかに努力しても及ばぬ恐ろしいものがあるような気がしているのだ。その才能が、僕にある、と日本一の新劇俳優が、うっかり折紙をつけてしまった。ああ、喜ばじと欲するも得ざるなり。しめたものさ。僕には才能が、あったのだ。人格は無いけれども、才能はあるそうだ。上杉氏には、人格の判定は出来ない。嘘の判定だ。あの人には判定する資格が無い。けれども流石に、才能に就いての判定は、横沢氏などよりさらに数段正確なところがあるのではあるまいか。餅は餅屋である。役者の才能は、役者でなければわからない。うれしい事だ。僕には、俳優の才能があるのだそうだ。笑わじと欲するも得ざるなり。いまはもう、落第したってかまわない。それこそ、鬼の首でも取って来たみたいに、僕は意気揚々と家へ帰った。