Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
「だめ、だめ。」と僕は兄さんに報告した。「みごと落第です。」
「なんだ、ばかに嬉しそうな顔をしているじゃないか。だめな事は、ないんだろう。」
「いや、だめなんだ。戯曲朗読は零点だった。」
「零点?」兄さんも、真面目になった。「本当かい?」
「人格がだめなんだそうだ。でも、ね、才能は、――」
「何をそんなに、にやにや笑っているんだ。」少し不機嫌になって、「零点をもらって、よろこぶ事はないだろう。」
「ところが、あるんだ。」僕は、きょうの試験の模様をくわしく兄さんに知らせた。
「及第だ。」兄さんは僕の話を聞き終ってから、落ちついて断定を下した。「絶対に落第じゃない。二、三日中に合格通知が来るよ。だけど、不愉快な劇団だなあ。」
「なってないんだ。落第したほうが名誉なくらいだ。僕は合格しても、あの劇団へは、はいらないんだ。上杉氏なんかと一緒に勉強するのは、まっぴらです。」
「そうだねえ。ちょっと幻滅だねえ。」兄さんは、淋しそうに笑った。「どうだい、もういちど斎藤氏のところへ相談に行ってみないか。あんな劇団は、いやだと、進の感じた事を率直に言ってみたらどうだろう。どの劇団も皆あんなものだから、がまんしてはいれ、と先生が言ったら、仕方が無い。