Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
これから家も、いっそう淋しくなるだろう。大型のタクシイには、お母さんと香川さんと看護婦の杉野さん。もう一台のタクシイには、鈴岡さん夫婦と、女中の梅や。まっすぐに九十九里の松風園までタクシイを飛ばすのである。香川さんと鈴岡さん夫婦は、お母さんが向うに落ちついたのを見とどけてから、汽車で帰京の予定。たいへんな騒ぎである。家の前には通行人が、何事かという顔をして、二十人ほども立ちどまって見ている。お母さんは、朝日タクシイの若旦那に背負われ、泰然として、梅やを大声で叱咤したりなどしながら、その群集を掻きわけて自動車に乗り込むのである。相当な光景であった。あの、ドストイェフスキイの「賭博者」の中に出て来るお婆さんみたいだった。とに角元気なものだ。お母さんは、九十九里で一、二年静養したら、本当に、全快するかも知れない。
みんなが出発した後は、家の中が、がらんとして、たよりない気持だった。いや、それよりも、けさのどさくさ騒ぎの中で、ちょっと奇妙な事があった。けさは、兄さんも僕も、手伝いどころか皆の邪魔になるばかりなので、二階に避難して、お手伝いの人達の悪口などを言っていたら、杉野さんが、こわばった表情をして、用事ありげに僕たちの部屋へはいって来て、ぺたりと坐って、