Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
四十七
義雄は神戸まで来て弟の顔を見て行けば、それで気が済んだという風で、用事の都合からそうゆっくりもしていなかった。この時機を失っては成らない。こう命ずるような声を岸本は自分の頭脳の内で聞いた。彼は立ちかける兄の袖を心では捉えながらも、何事も言出すことが出来なかった。
到頭岸本は言わずじまいに、兄に別れた。彼は嫂に一言の詫も言えず、今また兄にも詫ることの出来ないような自分の罪過の深さを考えて、嘆息した。
四十七
神戸の宿屋で岸本は二週間も船を待った。その二週間が彼に取っては可成待遠しかった。隠して置いて来た節子と彼との隔りは既に東京と神戸との隔りで、それだけでも彼女から離れ遠ざかることが出来たようなものの、眼に見えない恐ろしさは絶えず彼を追って来た。今日は東京の方から何か言って来はしまいか、明日は何か言って来はしまいか、毎日々々その心配が彼の胸を往来した。しかし彼は二週間の余裕を有った御蔭で、東京の方では書けなかった手紙も書き、急いだ旅の支度を纏めることも出来た。その間に、大阪へ用事があって序に訪ねて来たという元園町の友人を、もう一度神戸で見ることも出来た。