Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

四

昔のことを繰り返しさらに怨みを深めるのは私達の本意ではない筈です。昔犯したさまざまの罪を懺悔で清めるということが私達の勤めでございます。……人生を懺悔で統一する! これが急務でございます。……私はあなたに逢いたいのです。どうぞお逢いくださいまし。ああしかしあなたは私と逢おうとはなさいません。それで私はここへ来て、湖岸の草へ跪き、湖水へ向かって呼びかけるのです。あなたは遠くにおられます。私の声は届きますまい。とはいえ私の心持ちは通ずる筈でございます」

四

夜はまだ明けそうにも見えなかった。湖水からはなんの返辞もない。それは無慈悲に黙っていた。

光明優婆塞は合掌したまま草叢の上へ伏し転んだ。

蒼い尾を曳いて星が飛んだ。

この時サラサラと草を分け、近寄る人の気勢がした。

朦朧と月光に暉かされながら一人の男が現れ出た。頭巾を戴き十徳を着た、放心したような男であった。その男は静々と――獲物を狙う悪獣のように、光明優婆塞へ近寄った。

伏し転んでいる白衣の行者を、じっと上から見下ろした時夜目にも凄じく彼の眼の輝いたのが見て取れた。

「斬るかな、それとも突くとしようか」