Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

五

とまた訊いた。

陶器師は答えない。

俄然刀を投げ出すと、彼はバッタリ地へ座った。

「今こそわかった! 光明優婆塞様!」

その手は合掌に組まれている。

「立て」と優婆塞は優しく云った。「大なる生命の存在を、認めることの出来た時、人は限りなく弱くなる。その弱さが極わまった時、そこに本当の強さが来る。私は聖者でもなんでもない。ただ弱さの極わまった者だ。……そこでお前に訊くことがある。何故お前は人を殺すな?」

「ハイ」と陶器師は弱々しく、「いたたまれないからでございます。必要からでございます」

「活きて行く上の必要からと、こうお前は云うのだな」

五

「ハイ、さようでございます。心の中に鬼がいて、それが私を唆して、人を殺させるのでございます」

「もし唆しに応じなかったら?」

「あべこべに私が殺されます。ハイその心の鬼のために食い殺されるのでございます。自滅するのでございます」

「しかし、たとえ、人を殺しても、お前の心は休まらない筈だ」

「ただ、血を見た瞬間だけは……」

「心の休まることもあろう。しかしすぐに二倍となって、不安がお前を襲う筈だ」

「で、また人を殺します」

「するとすぐ四倍となって、不安がお前を襲う筈だ」