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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

彷徨いよろめき歩くにも似ず、彼の歩き方は速かった。それは遥かの行手から、故郷の声が呼ぶからであった。彼は征矢のように走ることさえあった。それはその時故郷の声が、ひときわ高く聞こえて来るからであった。しかしすぐに歩みを弛め、さも苦しそうに喘ぎ声をあげた。

草を踏み分ける足の音と、時々洩らす喘ぎ声とが、次第に更けて来る夜の裾野の、たった一つの音であった。

一匹の布が焔のように輝き、その頂上の縊れ目に、斜に付いた太い眉と、魚の形の長い眼と、削ったような高い鼻と、なかば開いた唇とを持った、能面が載っているということは――しかも暗夜の荒野の中を、動いているということは、何んと云ったらいいだろう?

仮面の城主は歩いて行った。

荒野が尽きて深林となり、その深林へ分け入った時、ひとしきり彼の姿が消えた。しかし間もなく一団の焔が、木と木の間を縫って行った。

白樺が彼を迎えた時、粉を吹いたような木の幹が、彼の袍に反射して、しばらく桃色に色附いた。しかし彼が立ち去ると同時に、再び闇に埋ずもれた。胡頽子の灌木が行手を遮り、それを彼が迂廻った時、巣籠っていた山鳩が、光に驚いて眼を覚ました。