Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
しかしどういう径路をとり、どういう有様に流行したかは、知る人きわめて少いだろう。
花嫁の行列が通っていた。甲府城下の夜であった。提灯の火が輝いた。沢山の人達が花嫁を囲み、さざめきながら歩いていた。
行列は辻を曲ろうとした。と、忽然火柱が立った。火柱のてっぺんに顔があった。人達は八方へパラパラと散った。残ったのは花嫁ばかりであった。顫えながら花嫁は立っていた。
その時、火柱の主が云った。
「故郷の人。……祝福あれ!」
そうして花嫁へ手を触れた。それは愛撫の手であった。
そこで花嫁は恐る恐る云った。
「神様、ありがとう存じます」
火柱の主は辻を曲り、深紅の光は見る見る消えた。
ふたたび行列は進むことになった。
と、花嫁が呻くように云った。
「体を虫が這うようだ」それからさらに花嫁は云った。「ああ体中が燃えるように熱い。……ああ、両肘が痒くなった。……ああ膝頭が痒くなった。……皆様、どうしたのでございましょう。……眉の上が痒くなりました。……むくんだようでございましょう。……おお眼が変になりました。……体から何か垂れるようです。……おお、おお、どうしたのでございましょう! ……小指と薬指とが曲ってしまいました。