Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
四
三横文の皺をつくり、落涙の相と致しましょう」
物を鞣すような音がした。とまた月子の声がした。
「情のある眼付きでございますこと。傾城眼と申します。これも変えなければいけますまい。眼尻に皺を刻みましょう。眼瞼へ黒子を作りましょう。涙を誘う泣き黒子」
何かを取り上げる音がした。
少しの間静かであった。
トコトコトコトコ、トコトコトコトコ……岩壁から滴たる水の音。いっそう岩窟はひっそりとなった。
四
「人相さえ変えたら大丈夫だ。少しも恐れることはない」依然源之丞は蹲まっていた。「わざと求めて邂逅ってやろう。そうだ北条内記奴に。そうして彼奴の眼の前で、思うさま大声で笑ってやろう。ゲラゲラゲラと崩れるように」
またも月子の声がした。
「素直な鼻つきでございますこと。円満鼻と申します。これも変えなければいけますまい。親に別れ良人に別れ、生涯住所定まらず、轗軻不遇に世を送る、鷹嘴鼻に変えることに致しましょう」
源之丞は隣室へ耳を澄ました。
「うん、それがいい、うんと変相するがいい。昔の面影のないように。園女が園女だと知れないように」
ひとしきり寂然と静かであった。龕の灯がユラユラと揺らめいた。