Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
とは云え甲府の城下を去り、ここ裾野へ来るについては来るだけの理由があったのである。
二人は黙って顔を見合わせている。
涼しい風が吹き込んで来た。竈から焔がヒラヒラとなぐれ先刻の蝶が翅を焼かれたか枯草の上を転げ廻わっている。
「さては拙者を胡散と見て、その理由お話しくだされぬそうな。やむを得ぬ事」
と云いながら、陶器師はまたも眼をとじたが、
「貴殿は父母をお尋ねになり魔界へ踏込み行かれようとなさる。それに反してこの拙者は、求めるものを求めかね、物に狂い心を取り外し、一日といえども人の血を見ねば活きておられぬ狂者となり、悶え悶えておるのでござるよ。……ああこの腕がムズムズする! き苦しむ人間の声を一声なりと聞きたいものじゃ。フフフフ、フフフフフフ」
突然太刀を左手に引き付け右足をトンと踏み出したが、「いや貴殿を討つことはならぬ。貴殿の父上庄八郎殿には日頃からご恩を蒙っておる」
云うとそのままくったりと坐り竈の火口をじっと見る。
「何を求めておられますな?」
庄三郎は静かに訊いた。
「『不義』と『裏切り』この二つこそ拙者の求めるものでござるよ」
「捕えた暁にはどうなさるな?」