Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
以上は源家衰頽時代、建仁三年の出来事であるが、戦国時代にも人穴は、ほとんどそれと変りがなく、深い穴であったらしい。
ところで今日も存在する入り口に近い一条の横穴――富士講中の籠舎の附近に、その頃女の面作師が一人窃かに籠っていた。
打ち見たところ二十八九、容姿端麗の美婦であったが、身には純白の行衣を着、仄かに灯された獣油の灯火で、四季洞内に籠り詰め、カチカチカチカチと鑿を揮い、仮面を作るに余念なかった。
しかし作られるその仮面こそは、尋常一様の仮面ではなく、世にも奇怪な物であり、そうして面作師月子という女も、富士の裾野に巣食うところの魑魅魍魎の一人なのであったが、それは順を追って説くとして、さてある日の事である。面作師月子はいつものように、岩の腰掛けへ腰を掛け、鑿の運びに神をこめていた。
と、戸を叩く音がする。
「どなた?」
と月子は声を掛けた。
「俺だ俺だ。声でも解ろう」
月子はちょっと考えたが、
「解りました」と静かに云うと、戸の側へ行って閂を取る。
「しばらくであったなあ」と云いながら、よろめくようにはいって来たのは、他ならぬ強盗陶器師であった。
第五回