Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「親分、あっしは、気になってならねえことがあるんだが」
「何だい、八、先刻から見ていりゃ、すっかり考え込んで火鉢へ雲脂をくべているようだが、俺はその方がよっぽど気になるぜ」
捕物の名人銭形の平次は、その子分で、少々クサビは足りないが、岡っ引には勿体ないほど人のいい八五郎の話を、こうからかい気味に聞いてやっておりました。
遅々たる春の日、妙に生暖かさが睡りを誘って、陽が西に廻ると、義理にも我慢の出来なくなるような薄霞んだ空合でした。
「ね、親分、あっしは、あの話を、親分が知らずにいなさるはずはねえと思うんだが――」
「何だい一体、その話てえのは? 横町の乾物屋のお時坊が嫁に行って、ガラッ八ががっかりしているって話ならとうに探索が届いているが、あの娘の事なら、器用にあきらめた方がいいよ、町内の良い娘が一人ずつ片付いて行くのを心配していた日にゃ、命が続かねえぜ」
「冗、冗談でしょう、親分、誰がそんな馬鹿なことを言いました」
「誰も言わなくたって、銭形の平次だ、それくらいのことに目が届かなくちゃ、十手捕縄を預かっていられるかい」
「そんな馬鹿なことじゃねえんで――あっしが気にしているのは、親分も薄々聞いていなさるでしょうが、近頃大騒ぎになっている本所の泥棒――、三日に一度、五日に一度、選りに選って大家の雨戸を切り破る手口