Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

六

第一番に突き上げたのは、当日の一番当り千両の福運のある札ですから、錐は奈落の底から、天上まで引上げられるような心持。境内に充ち溢れた数千の群衆は、しわぶき一つする者もありません。

「一番札、鶴の一千二百三十四番」

読上役がそれを高々と読み上げると、

「ワーッ」

境内はさながら大波の寄せたような有様。中には、卒倒する者も、踏み潰されるものもあるという騒ぎです。

六

「一番当りの札を持った方はないか」

「鶴の一千二百三十四番はないか」

境内の人がだいぶ散った頃まで、名乗って出ないのはどうした事でしょう。

「千両の当りは鶴の一千二百三十四番だぞ」

呼ぶ声に応じて、

「私でございます」

水のごとく冷静に、疎らになった、人垣を分けて、書留役の前へ近づいたものがあります。

「なんだ、お前さんか、早く言えばいいのに」

見ると、二十三四の水の滴りそうな女。

「あまり混乱がひどくて、前へ出られやしません」

物驚きをする様子もありません。

「所とお名前は――、ええと御承知だろうが三日以内に受取ると、定めの寄付の外に一割の手数を申受ける、お判りだろうな」

「よく判っております。が、お金はなるべく急いで御下げ渡し下さいまし、私の所は、石原の孫右衛門店、勢と申して、後家でございます」