Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「わッ、た、大変ッ」

下女の上ずった声が、次の間から響くと、恐ろしい予感に、騒ぎは水をぶっ掛けたように鎮まりました。

「来て下さい、大変ッ」

続いてもう一度。

「…………」

十人ばかりの妓は、一瞬闇の中に顔を見合せると、物をも言わずに隣の室へ突進しました。

「灯」

真っ先のお勢が叫ぶと、二つ三つ先の部屋に片づけた燭台が誰の手からともなく次の間へ運ばれます。

「あッ、白旗の旦那だ」

驚いたのも無理はありません。御家人崩れで、今こそ幇間とも用心棒ともつかぬ事をしておりますが、まだまだ腕っ節には自信を持った白旗直八が、鬼の目隠しをしたまま、自分の脇差で後ろから頸筋を縫われて死んでいたのです。

三

歓楽の馬鹿騒ぎは、重っ苦しい恐怖の騒ぎに変りました。階下で呑み直す支度をしていた伴三郎も、左孝の悪巫山戯を逃避して廊下で涼んでいたお駒も、青い緊張した顔を持って来ました。

「左孝はどこへ行った?」

「先刻から見えないぞ」

この騒ぎの中へ、剽軽者のお先っ走りの左孝が顔を出さないはずはありません。

「あいつだよ、平常から白旗の旦那と仲が悪かった」

お勢です。

「馬鹿な事を言っちゃならねえ、人が聞いたらどうする」