Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「親分」
「何だ八、また大変の売物でもあるのかい、鼻の孔が膨らんでいるようだが」
銭形の平次はいつでもこんな調子でした。寝そべったまま煙草盆を引寄せて、こればかりは分不相応に贅沢な水府煙草を一服。紫の煙がゆらゆらと這って行く縁側のあたりに、八五郎の大きな鼻が膨らんでいるといった、天下泰平な夏の日の昼下がりです。
「大変が種切れなんで、ちかごろは朝湯に昼湯に留湯だ。一日に三度ずっ入ると、少しフヤけるような心持だね、親分」
「呆れた野郎だ。十手なんか内懐に突っ張らかして、わずかばかりの湯銭を誤魔化しゃしめえな」
「とんでもねえ、そんな不景気な事をするものですか――不景気と言や、親分、近頃銭形の親分が銭を投げねえという評判だが、親分の懐具合もそんなに不景気なんですかい」
「馬鹿にしちゃいけねえ、金は小判というものをうんと持っているよ。それを投るような強い相手が出て来ないだけのことさ」
「へッ、へッ」
「いやな笑いようをするじゃないか」
「その強そうな相手があったら、どうします、親分」
「またペテンにかけて俺を引出そうというのか、その強そうな相手というのは誰だ、――次第によっちゃ乗出さないものでもない」