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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「八、手前涙の味を知ってるかい」

「近頃はトンと泣かねえが、子供の時お袋に叱られて泣いていると、口へ涙が流れ込んだことがありますよ。汗みたいな塩っ辛い味だと思ったが――」

ガラッ八もこう言うより外はありませんでした。普賢菩薩の涙を見上げている平次の態度が、洒落や冗談とは全く縁のない生真面目なものだったのです。

「手前も仏様の涙を舐めた事はあるめえ、ちょいとやってみな」

「あっしが?」

「人間の涙は塩っ辛いが、勧進元の細工なら味があるわけはねえ、本当に仏像の涙なら甘露の味がするかも解らないじゃないか」

「ヘエ――」

「幸い朝のうちで小屋の中はガラ開きだ。今のうちにちょいと舐めてみな」

「親分、そりゃ本当ですかい」

ガラッ八も驚きました。日頃言い付けに反いたことのない親分の言葉ですから、大概の事なら聞くつもりですが、仏様といっても、見世物小屋の活人形の眼に溜った、得体の知れない水を舐めてみろと言われたには驚いたのです。

「嫌かい」

「嫌じゃありませんが――ね」

「岡場所のドラ猫みたいな妓の頬ぺたを舐めるんじゃねえ、これでも仏様だ。誰が笑うものか、安心してやってみな」