Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
を当てもなくグルグルと廻りました。
「おや?」
妙なものが、平次の注意を捉えました。踏み堅めた往来へ、ボロボロとこぼれている、真っ黒な土です。つまみ上げて掌で砕いてみると、江戸の往来の馬糞と砂利をねり堅めたような土とは全く違ったもので、うんと空気を含んだ真っ黒な土くれですが、肥料の気の少しもないところをみると、八百屋や近在の百姓衆が、商売物の荷や草鞋で運んで来た、田舎の土でないことも明らかです。
土は点々として、川岸に続きました。崩れた石垣の上から覗くと、そこには苫を掛けた船が一隻、人が居るとも見えず、上げ潮に揺られて、ユラユラと岸を嬲っております。
「…………」
平次は思わず声を出すところでした。船端には、先刻、街で見付けたと同じような土が一ぱい、苫の中にも多分それが積み込んであることでしょう。もし、ガラッ八の手紙に書いてある“土”がこれを指すのだったら?――平次は思わず伸上がって皆川半之丞の浪宅のあたりを見やりました。
視野を遮るのは長崎屋の巨大な棟、――その下には、巨万の富を護るために抱えておくという、二人の浪人者の住んでいる離室も見えます。
五