Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
あまりの事に、お品も面喰らいました。富籤の札が当ればこそ千両ですが、それは何万枚に一枚の幸運を担った札で、あとは紙っ屑の足しにもなりません。
「お勢さん、あきらめなすったら? そんなものを盗ったって何にもならないし、手に戻ったところで仕様がないじゃありませんか」
「いえ、あの札は、並大抵の札じゃない、どうしようねえ、お品さん」
お勢は少し気が変になったのではあるまいかと思われるようでした。
「父親ではあの通り休んでおりますから、神田の平次親分でも頼んで来ましょうか」
お品は持て余してそう言うと、
「とんでもないお品さん、私はあの平次とかいう男は大嫌いさ、どうか呼ばないで下さい」
そういった有様で手の付けようがありません。
なおも、逆上気味のお勢をなだめて訊いてみると、泥棒は暁方入ったものらしく、お勝手口をコジ開けて、お勢の枕元から、金唐革の小さい手箱を持出し、路地で打ち割って、その中の富札だけを持って逃げ出したというのです。
富札を買って気の違った人や、自殺した人もある時代ですから、それだけなら別に大した事件でも何でもないのですが、お勢に伴れられて、半町ばかり先の、小綺麗なしもたやを訪ねたお品は、そこで思いも寄らぬ大変な事件に出くわしてしまったのでした。