Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
三十銭損をした。それから、時間も損をした。不良の木村が、凄い傑作だから是非とも見よ、と矢鱈に力こぶをいれて言うものだから、期待して見に行ったのだが、なんという事だ、ハアモニカの伴奏でもつけたら、よく似合うような、安ポマードの匂いのする映画だった。木村はいったい、どこにどう感心したのだろう。不可解だ。あいつは、案外、子供なんじゃないかな? 馬が走ると、それだけで嬉しいのだろう。あいつのニイチェも、あてにならなくなって来た。チュウインガム・ニイチェというところかも知れない。
今夜は、姉さんが鈴岡さんからの電話で、銀座へおでかけ。婚前交際というやつだ。二人で、いやに真面目な顔をして銀座を歩いて、資生堂でアイスクリイム・ソオダとでもいったところか。案外、「進め竜騎兵」なんかを見て感心しているのかも知れない。結婚式も、もうすぐなのに、のんきなものだ。やめたほうがいい。お母さんは、ついさっき癇癪を起した。からだを洗う金盥のお湯が熱すぎると言って、金盥をひっくり返してしまったのだそうだ。看護婦の杉野さんは泣く。梅やはどたばた走り廻る。たいへんな騒ぎだった。兄さんは、知らぬ振りして勉強していた。