Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
よその紳士が、叔母さんにお酒をすすめた。女史はからだを、くねくねさせて、
「あの、いただけないんざますのよ。」
「でも、まあ、一ぱい。」
「オホホホホ。ではまあ、ほんのチョッピリ!」
いやらしい! 兄さんは、あまりの恥ずかしさに席を蹴って帰りたかったそうだ。一事は万事である。どうも、気障ったらしくてかなわない。今夜も僕の顔を見て、
「あらまあ! 進ちゃん、鼻の下に黒い毛が生えて来たじゃないの! しっかりなさいよ。」と言った。愚劣だ。実に不潔だ。乱暴だ。無態だ。まさしく一家の恥である。同席は、ごめんである。こっそり兄さんと、うなずき合って、一緒に外出した。銀座は、ひどい人出である。みんな僕たちみたいに家が憂鬱だから、こうして銀座へ出て来ているのであろうか、と思ったら、おそろしい気がした。資生堂でコーヒーを飲みながら兄さんは、「芹川の家には、淫蕩の血が流れているらしい。」と呟いたので、ぎょっとした。帰りのバスの中では、「誠実」という事に就いて話し合った。兄さんも、このごろは、くさっているらしい。姉さんがいなくなったので、家の仕事も見なければならず、小説も思うようにすすまないようだ。