Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
古い大きいお屋敷である。玄関で靴を脱いでいたら、角帯をきちんとしめた番頭さんのような若い人が出て来て、どうぞと小声で言ってスリッパを直してくれた。おだやかな感じである。まるで、お客様あつかいである。控室は二十畳敷くらいの広い明るい日本間で、もう七、八人、受験生が来ていた。みな、ひどく若い。まるで子供である。十六歳から二十歳という制限だった筈だが、その七、八人のひと達は、ちょっと見たところ、まるで十三、四の坊やだ。髪をおかっぱにしている者もあり、赤いボヘミアンネクタイをしている者もあり、派手な模様の和服を着流している者もあり、どうも芸者の子か何かのような感じの少年ばかりだ。僕は、てれくさかった。さっきの番頭さんみたいな人が、おせんべいとお茶を持って来て僕にすすめて、「しばらくお待ち下さいまし。」と言う。恐縮するばかりである。ぼつぼつと受験生が集って来る。二十歳くらいのひとも三、四人来た。けれども、みんな背広か和服だ。学生服は、ついに僕ひとりであった。あんまり利巧そうでない顔ばかりだったが、でも、鴎座のように陰鬱な感じはなかった。人生の敗残者なんて感じはない。