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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

「べつに。」

「え?」試験官たちは、一斉にさっと緊張したようであった。主任のひとも、眉間にありありと不快の表情を示して、「じゃ、なぜ春秋座へはいろうと思ったのですか?」

「僕は、なんにも知らないんです。立派な劇団だとは、ぼんやり思っていたのですけど。」

「ただ、まあ、ふらりと?」

「いいえ、僕は、役者にならなけれぁ、他に、行くところが無かったんです。それで、困って、或る人に相談したら、その人は、紙に、春秋座と書いてくれたんです。」

「紙に、ですか?」

「その人はなんだか変なのです。僕が相談に行った時は風邪気味だとかいって逢ってくれなかったのです。だから僕は玄関で、いい劇団を教えて下さいって洋箋に書いて、女中さんだか秘書だか、とてもよく笑う女のひとにそれを手渡して取りついでもらったんです。すると、その女のひとが奥から返事の紙を持って来たんです。けれども、その紙には、春秋座、と三文字書かれていただけなんです。」

「どなたですか、それは?」主任は眼を丸くして尋ねた。

「僕の先生です。でも、それは、僕がひとりで勝手にそう思い込んでいるので、向うでは僕なんかを全然問題にしていないかも知れません。