Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
二箇月を経ると、準団員として毎月、化粧料三十円になるのだ。それから二箇年間に、少しずつ手当がふえていって、二箇年が過ぎると、正団員になって、全団員と同等の待遇を受けるようになるのである。順調に行くと、僕は十九歳の秋には正団員になれるのである。けれども今は、そんな甘い空想で、うっとりしている場合ではない。目前の努力が大事だ。つらいだろうなあ。二年経って、正団員になって、それからが本当の役者の修業なのだ。十年修業して、二十九歳。いろんな事が起るだろう。自分ひとりの演技よりも、どんな脚本を選ぶかという事こそ最も大きい問題になって来るだろう。とにかく努力だ。かならず偉い役者にならなければならぬ。大海へ丸木舟に乗ってこぎ出した形だ。でも、僕が今月から、もう、ちょっとしたお給金がもらえるというのは、くすぐったい事だ。チョッピリ、うれしい。最初のお給金で、兄さんへ万年筆を一本買ってあげようと思っている。兄さんは、明日、沼津のお母さんの実家へ避暑に行くと言っている。十日ばかり滞在の予定だそうだ。いつもなら、僕も当然、一緒に行くのだが、なにせ来週から、「つとめ」の身であるから、ままにならぬ。