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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

ことしの夏は、東京に居残って頑張るのだ。兄さんの「文学公論」の小説は、とうとう締切までに間に合わなかったようだ。半分ほど書き上げた時に、津田さんに見ていただいたところが、意外なほどいいお点をもらって激励されたとか、けれどもその後が、どうしても、うまく進行せず、とうとう放棄してしまったようだ。本当に、惜しい事だ。兄さんは、いつでも、バルザックやドストイェフスキイと較べて、自分の力量の足りない事を嘆いているが、はじめから、あの人たちに勝とうと思うのは慾が深すぎるのではあるまいか。「やっぱり、小説は、三十すぎなければ駄目だね。」などと言っていたけど、それでは、三十になる前に、小さい散文詩などを書いてみたらどうかしら。とにかく兄さんには、凄い才能があるのだから、いまに調子が出て来れば、世界的な傑作を必ず書く。兄さんの文章の美しさは、ちょっと日本にも類が無い。

今夜、風呂へはいって、鏡をみたら顔がひどくやつれているので、驚いた。僅か二、三日の間に、こんなに顔が変るものか。やっぱり、この二三日、よほどの心労だったのだろう。頬骨が出て、すっかり大人の顔である。