Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
しんとしていた。マア坊は、こわばったような笑い方をして、ちょっと掌を口の横にかざし、あ、と大きく口をあけ、それから口をとがらせて顎をひき、その次に、口を半分くらいひらいてこっくり首肯き、それから口を三分の二ほどひらいてまた、こっくり首肯いた。声を全然出さず、つまり口の形だけで通信しているのである。僕には、すぐにわかった。
「ア、ト、デ、ネ」と言っているのだ。
すぐにわかったけれども、わざと、同じ様に口の形だけで、「ア、ト、デ?」と聞きかえすと、もう一度、「ア、ト、デ、ネ」を一字一字区切って、子供がこっくりこっくりをするような身振りで可愛く通信してみせて、それから、口の横にかざしていた掌を、内緒、内緒、とでもいうように小さく横に振って、肩をきゅっとすくめて笑い、小走りに別館のようへ走って行った。
「あとでね、か。案ずるより生むが易し、だ。」そんな事を心の中で呟き、僕は、どさんとベッドに寝ころがった。僕のよろこびに就いては説明する必要もあるまい。すべて、御賢察にまかせる。
そうして、きのうの夜の摩擦の時、僕はマア坊から、その「アトデネ」のお土産をもらった。