Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
しまっとき。」と姉のような、おとなびた口調で言って立ち去った。
僕は、ぽかんとした気持だった。少しもうれしくない。人の好意には素直に感奮すべきだと前の日に思いをあらたにした矢先ではあったが、どういうものか、僕には竹さんのこんな好意は有り難くない。それは僕が、この道場に来た当初から変らずに持ちつづけていた感情で、いまさらどうにも動かしがたいのだ。竹さんは、助手の組長で、そうして道場の皆に信頼されている立派な人なのだから、もっと、しっかりしなければならぬ。マア坊なんかとは、わけが違うのだ。こんな、つまらぬ人形なんかを買って来て、藤娘や、可愛いやろ? もないもんだ。
僕は、ごはんを食べながら、つくづくとお膳の隅の、その藤娘と称する二寸ばかりの高さの竹細工の人形を眺めたが、見れば見るほど、まずい人形だった。どうも趣味がわるい。これは駅の売店で埃をかぶって店ざらしになっていたしろものに違いない。気のいい人は、必ず買い物が下手なものだが、竹さんも、どうやら、ごたぶんにもれぬほうらしい。ちょっと不良じみたマア坊なんかのほうが、ずっと気のきいた買い物をする。仕方の無いものだ。