Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 81.739 Zeichen · 164 Bildschirme
八月二十八日
ゆうべ赤坊があんまり泣きたてたので家中の者の神経がすっかり鋭くなって、起きるとすぐいやな心持を味わなければならなかった。夜は割合に涼しい。家中の手が足りないで、皆がせかせかして居るのを見ると、自分ばかり落付いて居る訳にも行かない。今日はしきりに製作欲が動いて「彼方に遠く」を書き出す。メランコリーに沈んだ様な筆致で書けそうである。今月中には書きあげたい。コレラが段々拡がって来る。昔モッコに入れては川へ流した「ころり」の惨酷な死方は今ものがれられない。
八月二十八日(月曜)
今朝、英男がはいた。母様初め皆が、時節柄なので、よけい好い心持がしなかった。随分と暑い。大瀧氏夫人来訪、姉が死んだので、毎夜死んだ姿や声をきいて眠られないとのこと、又その人が非常に信用して居た医者が丁度その悪いころ北海道に居て、或夜非常に淋しい苦しい気がしてどうしても眠られなく、夫人には聞えない寺の鐘の音は、しきりに耳元で響いて一晩中坐ったまんまで明したと云う。乃木大将が愛子の幻を見られたことから見ると、或る霊感が距離の遠近に拘らずエーテルの震動によって、伝えられると云うことを信じられる。