Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
枳園はまた当時纔に二十歳を踰えた抽斎の長男恒善の、いわゆるおとなし過ぎるのを見て、度々吉原へ連れて往こうとした。しかし恒善は聴かなかった。枳園は意を五百に明かし、母の黙許というを以て恒善を動そうとした。しかし五百は夫が吉原に往くことを罪悪としているのを知っていて、恒善を放ち遣ることが出来ない。そこで五百は幾たびか枳園と論争したそうである。
枳園が此の如くにしてしばしば江戸に出たのは、遊びに出たのではなかった。故主の許に帰参しようとも思い、また才学を負うた人であるから、首尾好くは幕府の直参にでもなろうと思って、機会を窺っていたのである。そして渋江の家はその策源地であった。
卒に見れば、枳園が阿部家の古巣に帰るのは易く、新に幕府に登庸せられるのは難いようである。しかし実況にはこれに反するものがあった。枳園は既に学術を以て名を世間に馳せていた。就中本草に精しいということは人が皆認めていた。阿部伊勢守正弘はこれを知らぬではない。しかしその才学のある枳園の軽佻を忌む心が頗る牢かった。多紀一家殊に庭はややこれと趣を殊にしていて、ほぼこの人の短を護して、その長を用いようとする抽斎の意に賛同していた。