Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
榛軒はまた驚いた。間もなく阿部家では、榛軒を大目附格に進ましめた。
目見は此の如く世の人に重視せられる習であったから、この栄を荷うものは多くの費用を弁ぜなくてはならなかった。津軽家では一カ年間に返済すべしという条件を附して、金三両を貸したが、抽斎は主家の好意を喜びつつも、殆どこれを何の費に充てようかと思い惑った。
目見をしたものは、先ず盛宴を開くのが例になっていた。そしてこれに招くべき賓客の数もほぼ定まっていた。然るに抽斎の居宅には多く客を延くべき広間がないので、新築しなくてはならなかった。五百の兄忠兵衛が来て、三十両の見積を以て建築に着手した。抽斎は銭穀の事に疎いことを自知していたので、商人たる忠兵衛の言うがままに、これに経営を一任した。しかし忠兵衛は大家の若檀那上りで、金を擲つことにこそ長じていたが、んでこれを使うことを解せなかった。工事いまだ半ならざるに、費す所は既に百数十両に及んだ。
平生金銭に無頓着であった抽斎も、これには頗る当惑して、鋸の音槌の響のする中で、顔色は次第に蒼くなるばかりであった。五百は初から兄の指図を危みつつ見ていたが、この時夫に向っていった。