Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
或時優善は松川飛蝶と名告って、寄席に看板を懸けたことがある。良三は松川酔蝶と名告って、共に高座に登った。鳴物入で俳優の身振声色を使ったのである。しかも優善はいわゆる心打で、良三はその前席を勤めたそうである。また夏になると、二人は舟を藉りて墨田川を上下して、影芝居を興行した。一人は津軽家の医官矢島氏の当主、一人は宗家の医官塩田氏の若檀那である。中にも良三の父は神田松枝町に開業して、市人に頓才のある、見立の上手な医者と称せられ、その肥胖のために瞽者と看錯らるる面をば汎く識られて、家は富み栄えていた。それでいて二人共に、高座に顔をすことを憚らなかったのである。
二人は酒量なきにかかわらず、町々の料理屋に出入し、またしばしば吉原に遊んだ。そして借財が出来ると、親戚故旧をして償わしめ、度重って償う道が塞がると、跡を晦ましてしまう。抽斎が優善のために座敷牢を作らせたのは、そういう失踪の間の事で、その早晩還り来るを候ってこの中に投ぜようとしたのである。
十月二日は地震の日である。空は陰って雨が降ったり歇んだりしていた。抽斎はこの日観劇に往った。周茂叔連にも逐次に人の交迭があって、豊芥子や抽斎が今は最年長者として推されていたことであろう。