Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
妻はおいらん浜照がなれの果で何の用にも立たない。そこで偶渋江の家から来合せていた五百に、「どうかして遣ってくれ」という。五百は姉を宥め賺して、横山町へ連れて往った。
会津屋に往って見れば、敬はうろうろ立ち廻っている。銓はまだ泣いている。妻の出た跡で、更に酒を呼んだ宗右衛門は、気味の悪い笑顔をして五百を迎える。五百は徐に詫言を言う。主人はなかなか聴かない。暫く語を交えている間に、主人は次第に饒舌になって、光万丈当るべからざるに至った。宗右衛門は好んで故事を引く。偽書『孔叢子』の孔氏三世妻を出したという説が出る。祭仲の女雍姫が出る。斎藤太郎左衛門の女が出る。五百はこれを聞きつつ思案した。これは負けていては際限がない。例を引いて論ずることなら、こっちにも言分がないことはない。そこで五百も論陣を張って、旗鼓相当った。公父文伯の母季敬姜を引く。顔之推の母を引く。終に「大雅思斉」の章の「刑干寡妻、至干兄弟、以御干家邦」を引いて、宗右衛門が々の和を破るのを責め、声色共にしかった。宗右衛門は屈服して、「なぜあなたは男に生れなかったのです」といった。
長尾の家に争が起るごとに、五百が来なくてはならぬということになるには、こういう来歴があったのである。