Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
これは何故ともなしに、闇の裏に棠の姿が見えはせぬかと待たれたのだそうである。抽斎は気遣って、「五百、お前にも似ないじゃないか、少ししっかりしないか」と飭めた。
そこへ矢島玄碩の二女、優善の未来の妻たる鉄が来て、五百に抱かれて寝ることになった、の母は情を矯めて、のない人の子を賺しはぐくまなくてはならなかったのである。さて眠っているうちに、五百はいつか懐にいる子が棠だと思って、夢現の境にその体を撫でていた。忽ち一種の恐怖に襲われて目を開くと、痘痕のまだ新しい、赤く引き弔った鉄の顔が、触れ合うほど近い所にある。五百は覚えず咽び泣いた。そして意識の明になると共に、「ほんに優善は可哀そうだ」とつぶやくのであった。
緑町の家へ、優善がこの鉄を連れてはいった時は、鉄はもう十五歳になっていた。しかし世馴れた優善は鉄を子供扱にして、詞をやさしくして宥めていたので、二人の間には何の衝突も起らずにいた。
これに反して五百の監視の下を離れた優善は、門を出でては昔の放恣なる生活に立ち帰った。長崎から帰った塩田良三との間にも、定めて聯絡が附いていたことであろう。この人たちは啻に酒家妓楼に出入するのみではなく、常に無頼の徒と会して袁耽の技を闘わした。