Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その時勝五郎は兼て医術を伊沢榛軒に学んでいたので、直に氏名を改めて剃髪し、医業を以て身を立てた。
貞白は渋江氏にも山内氏にも往来して、抽斎を識り五百を識っていた。弘化元年には五百の兄栄次郎が吉原の娼妓浜照の許に通って、遂にこれを娶るに至った。その時貞白は浜照が身受の相談相手となり、その仮親となることをさえ諾したのである。当時兄の措置を喜ばなかった五百が、平生青眼を以て貞白を見なかったことは、想像するに余がある。
或日五百は使を遣って貞白を招いた。貞白はおそるおそる日野屋の閾を跨いだ。兄の非行を幇けているので、妹に譴められはせぬかと懼れたのである。
然るに貞白を迎えた五百にはいつもの元気がなかった。「貞白さん、きょうはお頼申したい事があって、あなたをお招いたしました」という、態度が例になく慇懃であった。
何事かと問えば、渋江さんの奥さんの亡くなった跡へ、自分を世話をしてはくれまいかという。貞白は事の意表に出でたのに驚いた。
これより先日野屋では五百に壻を取ろうという議があって、貞白はこれを与り知っていた。壻に擬せられていたのは、上野広小路の呉服店伊藤松坂屋の通番頭で、年は三十二、三であった。