Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
引き続いて二月に、森枳園の家に奇怪な事件が生じた。枳園は阿部家を逐われて、祖母、母、妻勝、生れて三歳の倅養真の四人を伴って夜逃をしたのである。後に枳園の自ら選んだ寿蔵碑には「有故失禄」と書してあるが、その故は何かというと、実に悲惨でもあり、また滑稽でもあった。
枳園は好劇家であった。単に好劇というだけなら、抽斎も同じ事である。しかし抽斎は俳優の技を、観棚から望み見て楽むに過ぎない。枳園は自らその科白を学んだ。科白を学んで足らず、遂に舞台に登って※子を撃った。後にはいわゆる相中の間に混じて、並大名などに扮し、また注進などの役をも勤めた。
或日阿部家の女中が宿に下って芝居を看に往くと、ふと登場している俳優の一人が養竹さんに似ているのに気が附いた。そう思って、と見こう見するうちに、女中はそれが養竹さんに相違ないと極めた。そして邸に帰ってから、これを傍輩に語った。固より一の可笑しい事として語ったので、初より枳園に危害を及ぼそうとは思わなかったのである。
さてこの奇談が阿部邸の奥表に伝播して見ると、上役はこれを棄て置かれぬ事と認めた。そこでいよいよ君侯に稟して禄を褫うということになってしまった。