Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「睡くはない? おおそうか。が、すぐ睡くなるだろう。……だが今夜はお前の様子は、ひどく昂奮してそわついている。まるで情夫でも待っているようだ。いやいや顔を反けずともいい。お前の美しいその顔をどうぞ俺に見せてくれ。……うむ、お前の眼付きがいい。姦婦の眼付きそっくりだ。うむ、お前の唇付きもいい。姦婦の唇付きそっくりだ」
「どうぞお許しくださいまし。もうもうそのような恐ろしいことは、どうぞおっしゃらないでくださいまし。聞くのも辛うございます。……妾はお許しをいただいて、寝部屋へ帰りとう存じます」
女はスラリと立ち上がった。頸からかけて、肩の辺まで、月の光に照らされた。細りとした頸の形が、弱々しく美しい。乱れた髪の毛が渦を巻き、左の肩へ垂れているのが、微風に嬲られて顫えている。
「帰ってはいけない。帰ってはいけない。睡くはないと云ったではないか。……そうだ、そうやって立ちながら、俺を見ている眼差しなどは、うってつけの姦婦型だ。胸が劇しく波打って来たな。足がブルブル顫えて来たな。呼吸使いも苦しそうだ。お前は俺が恐ろしいと見える。……待て! 貴様はどこへ行く※(感嘆符疑問符、1-8-78)」