Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
水泡の顔と城主の顔とが、ひたと直接に向き合ったのである。
忽然悲鳴が鳴り渡った。ヒーッという悲鳴である。水泡の口から出たのである。水泡は両手で眼を蔽うた。しかしそれは遅かった。メズサの顔を見たものは、そのまま即座に死ななければならない。
「万兵衛」と城主は無表情の声で、「二つの死骸を運ぶがいい。地下の工場へ持って行け。こいつらの血で染め上げた布で、俺の上衣を作ってくれ」
ボーンと鐘が鳴り出した。すなわち後夜の鐘である。
この夜、城内の一郭では、尼が燔刑に処せられた。煙に咽せ、焔に焼かれ、命の絶える間際までも、叫びつづけたと云うことである。
「……火で焼くがいい、鞭で撲るがいい、提婆のために憎まれて、頭を割られ鉛を詰められた、蓮華色比丘尼に比べては、この身の殉教は云うにも足りぬ。伊尸耆利山で法敵に襲われ、石子責めに逢って殺された、目蓮尊者に比べてはこの身の殉教は数にも入らぬ。妾はお前達に礼を云う。妾を撲るお前達の鞭こそ、涅槃に導く他力だとな! 妾はお前達に礼を云う。妾を燻べた松火の火こそ、真如へ導く導火だとな! おお人々よ慾を捨てよ! 慾こそは輪廻を産む。