Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

パチパチ、パチパチと廊下からは尚その音が聞こえて来る。

霧のようなものがどこからともなく部屋の中へはいって来た。霧ではなくて煙りである。それと一緒に甚太郎は次第に胸が苦しくなった。手足が漸次麻痺れて来る。

「あ、いけねえ毒気だな」

甚太郎はグタグタと床へ仆れた。「畜生、畜生、卑怯な奴だ。俺を狸か狐のように毒煙攻めにしようとしやがる。あ、眼が廻わる。グラグラする。お母さん! お母さん! お母さん!」

彼の眼の前の闇の中で青い焔が飛び交った。だんだん彼は弱って行った。まず握っていた棹を放し、それから両足を痙攣させた。そうして全く動かなくなった。

その時部屋の戸が開いて一人の大男が現われた。首斬り役の万兵衛である。巨大な斧を提げている。一渡り部屋の中を見廻わしたが、戸口の方へ顔を向けると、

「うまく行った。……はいって来な」

声に応じて三人の男が戸口から姿を現わした。

「さあ死骸の片付けだ。仲間が二人にお客様が一人、染料三行李と云う訳さ」

「大丈夫かな小四郎は?」一人の男が囁いた。

「あいつは大概活き返るだろう」

そこで三人は死骸を担ぎ廊下の方へ出て行った。その後から万兵衛が続く。